champagne gold

Merry Christmas!

わたしのクリスマスは、当初の予定どおり、友人と横浜駅で待ち合わせるところからスタート。
みなとみらいへ向かう電車を待っていたら突然携帯が震えて、例の45歳から「イヴを楽しく過ごしていますか?」とLINEが届いたのだった。見なかったことにして携帯をそっとしまった。久しぶりに会う友人の手前、LINEの返信に悩んでいられるほど暇ではない。
MARK ISでウインドウショッピングをして、赤レンガ倉庫のクリスマスマーケットをひやかし、象の鼻パークと大さん橋にも行った。あまりの寒さに力尽き、夜景も見ることなく早々と退散したわたしたちは、「クリスマスイヴでも混んでなさそう」という理由で関内まで足を延ばしたんだけど、これが大正解。ちょっとこじゃれた雰囲気の焼き鳥屋さんをのぞいてみたらスムーズに席に案内され、焼き鳥という名のチキンをほおばり、焼酎からワインまで飲んだくれながら「あーでもない、こーでもない」と散々しゃべり倒し、イヴの夜を楽しく過ごしていた。

「イヴに連絡が来るなんて、その気があると思う?」と友人に聞いてみたら、「十中八九そうじゃないの?」とのこと。だよね、そうだよね…わかってはいるんだけど、すごくもやもやする。
友人といっしょに楽しく過ごしていることを彼に伝えたら、「もっと早く誘えばよかった」と返事が来た。「今日は行きつけの飲み屋で飲んでいるよ」と言われても、「ひとりじゃなさそうでよかったな」くらいにしか思えなくて、そう思ったとおりにLINEを返したものの、わたしはそんな可愛げのない自分がなぜか許せなかった。

友人はわたしの家に泊まっていった。お昼過ぎに帰るというから、じゃあ横浜駅でランチでも…と、入ったカフェがこれまた大正解。クリスマスのお昼どきだし行列を予想していたんだけど、お店はかなり空いていて、すぐにお目当てのローストビーフ丼にありつけた。丸々24時間もの間いっしょにいるにも関わらず、友人との会話が途切れることはなかった。毎度のことながら彼女といるのはほんとうに楽しくて、ずっとこうして話をしていたい!といつも思うのだ。
彼からのLINEも相変わらずで、「今日会えないかな?」と言われてさらに戸惑い、目の前の友人に相談。「ちょっとくらい付き合ってあげたら?」という友人の助言もあり、思い切ってふたりで会ってみることにした。京急線で帰る友人とともに、わたしも同じ電車で待ち合わせ場所の品川駅へ向かった。

大混雑の品川の水族館。男の人にきちんと女の子扱いされることなんてこの数年皆無だったから、なんとなくくすぐったくて、でも、ちゃんと心地よかった。「あの魚の名前を当てたら手をつないでいい?」と何度か言われたけど、今日はそういうことは一度もしなかったし、させなかった。
そのあと、おしゃれなホテルのカフェで軽く飲みながら夕食を食べた。学生のころの話。食の好み。彼が某出版社のカメラマンになった経緯。仕事で海外をたくさん飛び回っていたときのエピソード。わたしの家族のこと。
それから、だいすきだったあのひとと、いっしょに映画を観たり、LIVEに行ったり、飲みに行ったり、遊びに行ったりしていた福岡でのあれこれを、気づけばわたしはとても自然に話していた。独身で、45歳で、マンションを持っていて、最初に仕事で電話したときはとても怖いひとだと思ったんだけど、ミスチルのライブに連れていってもらうようになってからはそういう雰囲気のひとだと割り切って接することができるようになって、いつの間にかとても仲良くなって、神様のいたずらでいっしょに福岡に転勤して、福岡にはお友達もいなかったけど、そのひとがいっしょに遊んでくれたから寂しくなんてなかったの―そんなことを一気に彼に話したんだと思う。
「それって付き合ってたんじゃないの?」と聞かれて首を横に振った。一呼吸置いてから、彼は「そのひとのこと、すきだった?」と、とてもやさしくわたしに尋ねた。図星。少しお酒が入ると途端にわたしはダメになる。反省した。

今日、彼とゆっくりふたりきりで話をしてみて、このひとといっしょにいたらしあわせだろうなと素直に思った。一本筋の通ったひとで、頼りがいがあって、安定した職に就いていて、裏表のないやさしいひとで、「めんどくさい」の一言ですべてを片付けようとするわたしのことも「だめだめ」と笑いながら諭してくれる、そういう彼が目に浮かぶ。なぜだか、こういうところで発揮する直感って意外とよく当たるもの。
だからこの際、いつだって頭を掠める「45歳なんだよなぁ…」という考えは捨て去るべきで(だってあのひとも同い年だったから)、もし、この先彼に「すき」と言われるようなことがあったら、そのときは逃げることなく真面目に考えなくちゃいけないな。

まぁ、手をつなぐことすら「やだやだー!」とか言いながら頑なに拒み続けてしまったので、彼にあきれられたかもしれないし、次が必ずある!とも言い切れないから、そういうことは今は隅に置いておこう。
こういうとき、男慣れしていない自分をほんとに呪いたくなる…世の中の百戦錬磨の女性たちに、こんな場面ではどう反応するのが正しいのか手ほどきをしていただきたい気分。

そんなこんなで、28歳のクリスマスは当初の予定を楽しく済ませたあと、予想だにしない出来事が待っていたのでした。