緋色

普段から自炊を心掛けているものの、魚を料理するのは苦手。食べるのは大好きでも、調理となるといつも失敗してしまう。
今日、スーパーに行ったらおいしそうな金目鯛のお頭がこちらを見ていた(ような気がした)ので、思い切って切り身のパックをお買い上げ。高かったけど、おいしいもののためのたまの贅沢なら許そうじゃないの。
醤油と酒とみりんと砂糖で煮付けた。砂糖は少なめがわたしの好み。落し蓋をして6分、煮汁をかけながら3分、とてもいい匂い。煮崩れることもなく、わたしにしては上々の出来。湯がいた小松菜を添え、炊き立てのごはんとともに。あぁ、文句なしにおいしかった。

福岡の最後の夜、すきなひととふたりで魚料理がおいしい定食屋さんで夕飯を食べたことを思い出した。帰り際、わたしがトイレに行っているうちに、彼はわたしの分のお会計までスマートに済ませていてくれたっけ。慌ててお財布を出したら「最後だからいいよ」とやさしく笑って背を向けて、たぶん、あれは、彼なりの精いっぱいの照れ隠し。
あーあ。久しぶりにすきなひとのことを思って泣いちゃった。でも、最近流したどの涙よりも、泣いてる自分を肯定できた。くやしい。いつまでたっても彼はわたしにとってのいちばんなのに、彼にとってのわたしはもう過去でしかない。きっと思い出してももらえないようなちっぽけな存在。

これまでより丁寧にスキンケアをするようになった。久しぶりの英語の勉強は楽しくてわくわくする。落ちるところまで落ちたら、あとは這い上がるしかない。なりたい自分がどんなものか、まだ明確な目標はないけれど、わずかでも現状を打破すべく毎日すこしずつがんばろうと思う。