涙色

小学校の同級生が亡くなった。29歳、突然の心不全だったそうだ。
わたしは、小学校を卒業してから彼には一度も会っていなかったけれど、友人たちと告別式に参列した。棺の中で眠る彼は小学校の頃から少しも変わってなくて、とてもやさしい顔をしていた。淡い黄色のカーネーションを一輪、彼の棺に入れて、最後のお別れをした。
彼のご両親や妹が涙をこぼしながらも気丈にふるまう中、婚約者だという女性は彼が眠る棺に縋りつくようにして泣き崩れていた。ドラマで見たり本で読んだりするようなこんな切ない別れを目の当たりにして、気づけばわたしもぽろぽろと涙をこぼしていた。彼女の左手の薬指で光る指輪がいっそう胸を締め付ける。死んでしまうにはあまりにも若すぎた。

梅雨の晴れ間、うだるように暑い日だった。季節を問わずいつもタンクトップを着ていた少年時代の彼を思い出し、「彼らしい旅立ちだ」と言ってみんなで泣きながら笑った。告別式のあと、白い煙になって天に昇っていったはずの彼がどこかでいっしょに笑っているような、そんな気がした。