白銀

福岡は思いのほか雪が降らず、ただただ、ひたすら寒いだけだった。
それでも雪は1cmほど積もっただろうか。新雪を踏みしめながら歩くのがすきで、今日は特段外出する用事はなかったんだけど、ただ手紙をポストに投函しに行くためだけに外に出てみた。さらさらの雪が風に吹かれて宙を舞っていた。街中に粉砂糖をまぶしたみたい。真っ白な世界に人影はほとんどなく、伊坂幸太郎の「終末のフール」みたいに地球滅亡の日が近づいたらこんな感じかもしれないな、とぼんやり考えた。
家に帰ってお昼ごはんを済ませ、くだらないテレビ番組に愛想を尽かし、英語の勉強なんか始めてみたり。とは言え、ものの10分で眠くなってしばしお昼寝。目が覚めたら17時。寝すぎたせいで頭がぼーっとしていたけれど、いそいそと夜ごはんのしたくに取りかかる。

大根を丸ごと1本買っておいたから、半分を煮物用に乱切りに、4分の1をお味噌汁用にいちょう切りにして冷凍しておく。残りの4分の1は細長く切り、おかかと醤油で和え物にした。ぽりぽりと食感がよくて最近のお気に入り。さらに、分厚くむいた大根の皮は千切りにしてポン酢に漬ける。箸休めにぴったり。
人参は2本分をひたすら千切りにしてキャロットラペを作った。お酢をたっぷり入れるから、日持ちもするし身体にもいい。お弁当の彩りにも一役買ってくれる。千切りのめんどくささはありながらも、あまりにおいしいからよく作って食べてる。
昨日買っておいた小松菜はさっと茹で、余った人参の千切りといっしょナムルにした。にんにくがぴりっときいてごはんが進む一品。それから、じゃがいもとたまねぎでお味噌汁。
主菜には蒸し鶏ときゅうりの和え物。甘じょっぱいタレにごまの風味がよくからんでとってもおいしい。鶏肉でもう一品は、鶏の唐揚げ。これは、来週の日曜日にすきなひとをおもてなしするための練習!彼、鶏の唐揚げがすきなの。お鍋がメインにはなるけど、ひとつ、ふたつ、簡単につまめるものを用意しようと思って。下味をつけるまでを土曜日のうちにやっておけば、日曜日は粉をまぶして揚げるだけで済むから簡単だし。からっと香ばしく揚がり、おいしい唐揚げができた。来週も彼においしく食べてもらえたらいいなと思った。
料理をするとき、効率よく出来上がるように手順を考えるのがすきだ。自分が考えた手順で、滞りなくさくさくと作業を進められるとすごくうれしい。包丁を握り、材料を切り、焼いたり、炒めたり、蒸したり、煮たり…その時間だけは何も考えずにいられる。いやなことがあったとき、仕事が上手くいかないとき、彼のことを想って泣きそうなとき、おいしいものを作るために手を動かしていると心が落ち着く。そして、できあがったごはんをおいしく食べたらほんのすこし元気が出る。またがんばろう、って思える。

明日から仕事。やらなくちゃいけないことが山積みで、たぶんとっても忙しい一週間になる。忙しさを理由にいらいらしないこと。ちゃんと笑顔でいること。周りのひとたちに嫌な思いをさせないこと。ていねいに仕事をすること。
彼は火曜日の午前中に福岡に戻ってくるんだって。甘い記憶を反芻しながら会えないさみしさを紛らわせる。金曜日の夕方、彼とすこし仕事の話をしたあと、彼が「平井堅のコンサートのチケット、無事に取れたよ」ってこっそり教えてくれた。

楽しみがまたひとつ、増えました。