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誰にも言えないから、ここに書き留めておこう。

健康診断の結果が返ってきた。毎年誰に見せても恥ずかしくない結果だから気になるのは体重の増減くらい。今年もそんなもんだろうと思ってた。でも、今年は結果を見てびっくりした。
そこには、「乳腺腫瘍」の疑いで「要精密検査」と書いてあった。

北斗晶さんが乳がんで手術』というニュースが日本中をかけめぐった直後の健診だった。「今すごく話題になってるし、わたしも診てもらおうかな~」というごく軽い気持ちで受けたエコーの検査がとんでもない爆弾を抱えて返ってきてしまった。腫瘍、それすなわち…指先がみるみるうちに冷たくなってゆくのがわかった。月曜日の朝のことだった。自分のことなのに他人事のように思えた。なんとも言えない感覚に陥った。
すぐに会社の医務室に呼ばれて看護師さんと面談した。「びっくりしたでしょう」と言われたけど、わたしは不思議なくらい気丈にふるまっていた。「腫瘍ってがんのこと?」と尋ねたら、「そうだよ」と言われた。恥ずかしいほど当たり前の質問をしてしまって、やっと動揺してる自分に気がついた。その場で乳腺外科のある病院に電話して検査の予約を入れた。北斗さんの影響もあり、現在病院はどこも混んでいるそうで、検査の予約を取るのは結構大変だった。

それからというものの、常に最悪の結果がわたしの頭の中をちらついている。
病院で詳しい検査をしてみないことには何とも言えない、という前提がありながらも、腫瘍が悪性のものだったら。入院したら。手術をしたら。胸がなくなったら。余命宣告をされたら。「もう手の施しようがありません」と言われたら。

職場に迷惑をかけてしまうから、仕事は休みたくないと思った。というか、仕事を辞めたくない!って社会人になって初めて思った。仕事しながら悩んで、考えて、怒って、困って、笑って、喜んで、そんな当たり前の毎日がとても大切なものに思えた。いっしょに笑ってくれたり、考えてくれたり、ときにはそっと手を差し伸べてくれたり、そんなやさしい上司や先輩たちに囲まれて仕事に邁進する日々はとても幸福なものだとあらためて気がついた。わたしはとても恵まれていた。
すきなひととのことも考えた。来週検査して結果が出たら、それによってはもう一生彼に想いを伝えるチャンスはなくなるんだと思う。病気のことを言うか、それを言わずして自分の気持ちを伝えるか。職場を休むとなれば前者を取るしかないのだから、そうなってしまったら、わたしはこの想いを一生胸に秘める覚悟でいる。でも、それってつらいなぁ…と思った。あの日、あのとき、すきだと言えばよかった。そんなふうに一生後悔して過ごすんだろうということはもう目に見えている。
両親に言うタイミングも悩ましい。まだ両親には言ってない。検査の結果がちゃんと出てから言うつもり。父方の祖父ががんになって入院しているから、母は祖父の看病で忙しそう。その上わたしまで…となったときの両親の反応が怖い。なるべく心配をかけたくない。家族に対しては、ただ、ただ、それだけを思っている。
あとは、もしも入院したらみんなお見舞いに来てくれるのかなぁ、とか、いつか死んじゃったらお葬式に来てもらえるかなぁ、とか。そんなことも頭を過ぎることがあるけど、「縁起でもない!」って自分で打ち消したり。

こんなふうに、いろいろなことが頭の中を逡巡しているけれど、日が経つにつれてわたしは落ち着きを取り戻しつつある。なるようにしかならない。きっと病気なんかじゃない。健診でエコーを担当したひとの腕が悪かったんだ、と思うようにしている。泣くこともなければ眠れないなんてこともない。我ながらけっこう図太い神経をしているものだと感心してしまう。でも、それくらいがちょうどいいのかもしれないね。

しつこいようだけど、ミスチルの対バンLIVEの話はいつか必ず書こうと思います。