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空も海も果てしなく青かった。
いつだったか、すきなひとと海の中道海浜公園に行ったときに「志賀島に行ってみたいね」なんて話していたけど、今日、わたしはひとりで志賀島に行ってきた。「次の週末は雲が多いし雨も降るかも」なんて先週の天気予報はうそっぱち。福岡は昨日も今日もよく晴れていた。

仕事のこと、彼とのこと、自分のこと、すべてにいらいらしていた一週間だった。
後輩に八つ当たりされ、先輩には大きな声で怒鳴られて、そんなザマを自分の上司に見られて泣きそうになっていたわたしを上司が守ってくれようとした結果、揉め事はさらに大きくなってしまった。いまさら犯人探しをするつもりはない。でも、誰もが自分の非を認めようとしないし、仕事はすべて押し付け合いだし、責任だって擦り付け合っているような現状に、わたしはわずかに声を上げる勇気すらない。上司や先輩のアドバイスに耳を貸そうとしない後輩の対応に手をこまねいているうちに、気づかぬところで問題が積み重なっていた。そんな後輩にガツンと言えない自分が悪いと思う。自分の意見を表明するのは昔から苦手、弁が立つこの後輩に対しては尚更で、そういうわたしにも社会人としてあらためるべきところはたくさんある。(と、他人の悪いところよりも自分の悪いところばかり気になるせいで、いつも自分だけを責めてしまうのも昔から。)
愚痴をこぼしても彼は相手にしてくれなかった。「先週は頭痛がしてずっと寝てたけど、今週末は埼玉に帰るんだ」と彼がうれしそうに言う。「何の予定もない週末にタイミングよく具合が悪くなるなんて、福岡にいるのがそんなに嫌なのね」と穿った見方をするわたし。もちろん、そんなこと口に出しては言わなかったけど。帰る場所があるひとはいいよなぁ、と思う。ほら、ちょうど台風が来る。台風さん、火曜日に九州上陸だなんて遅すぎるわ。もう少し速度を速めて、明日彼が福岡に戻ってこられなくなるようにしてちょうだい!

日曜日の朝にしては早起きをして、天神からバスに乗って博多ふ頭へ向かい、そこから市営渡船で志賀島へ。渡船場のすぐ近くでレンタサイクルを借りた。初めてのロードバイクにどきどきした。「志賀島一周はだいたい10km、寄り道しなければ40分で周れる」とどこかに書いてあったけど、わたしは体力もないし、スピードを出すのも苦手。レンタサイクルは3時間借りられるということだったから、のんびり一周しようと思ってスタートした。
陽射しは容赦なく暑かったけど、島を吹き抜ける風に少し秋を感じた。海風は潮の匂いがして、岩場の波打ち際には白波が立っている。海は澄んでいた。透明で、きらきらして、水平線はどこまでも真っ直ぐで、自転車に乗りながら見える景色はとても美しかった。
途中、立ち寄った甘味処であんみつを食べた。もらった地図を眺めていたら、「潮見公園」というところに展望台があると知って行ってみることにした。案内表示に導かれて右折、左折、したところで眼前にはタフな坂道。これをいったいどこまで登るのかしら…。結局、自転車に乗ったり、押して歩いたり、止めて休憩したり。もう本当に大変だった。何度も引き返そうと考えたし、こんな坂道二度と登りたくないと思った。あとから調べてみたらなんと2.5kmも登り続けていたらしい。日焼け止めもメイクも全部汗といっしょに流れていった。家から持参した大きなタオルと途中で買った500mlのペットボトルだけが頼りだった。救われたのは、木陰がとても涼しかったこと。木漏れ日から降り注ぐちいさな光のかけらがきれいだったこと。そして、登り切った先の展望台から見える景色がすばらしかったこと。正味一時間程度登り続けた結果、この絶景を目にして一気に疲れも吹き飛んだ。最高のご褒美をもらった気がする。(けど、もう一度登れと言われたらわたしは迷わず「車で行こう」と言うだろう。)

展望台でぼんやり景色を眺めていたら、ふと、遠くに観覧車を見つけた。あの日、彼といっしょに見上げた観覧車だった。「彼は今ごろ埼玉で何をしているだろう」なんてことが頭を過ぎった。今度顔を合わせたら、「埼玉の“子猫ちゃん”は元気だった?」って聞いてみようかな。「最近ゆっくり話していないからさみしい」って素直に言えたらいいのにな。
これまでかわした約束のひとつひとつを、わたしはどうするべきかと考えあぐねている。「ここに行ってみたい」「あそこも行きたいね」って、そんなふうに彼とたくさんの話をしたけれど、彼がその気じゃないならあえてわたしから持ち出すほどのこともないと思う。だって、それは、きっとわたしが(彼と)行きたいだけであって、彼はただわたしのワガママに付き合ってくれてるんだから。今日の志賀島だってそうだった。彼は「今度行こうね」とは言ってくれたものの、わたしから言い出さなければその「今度」なんて永遠に来ないような気がした。だからひとりで来たの。「こんな素敵な景色をひとりで楽しんできたのよ、いいでしょう」ってちょっと自慢げに話してみたい。
今まで嫌な顔ひとつせずいっしょに楽しく過ごしてくれたの、うれしかったなぁ。彼のそういうやさしさだけは、いつまでも、誰に対しても、変わらないでいてほしいと思ってる。

坂道を降りるのはあっけなかった。あんなに苦労して登ったから、思い切り風を切って山を下ってゆくことに多少の罪悪感みたいなものを覚えた。島の東側はあっさりと通過し、ちょうど3時間足らずでレンタサイクルを返却。その足で最後の目的地、志賀海神社を参拝した。
はじめは「お昼に海鮮丼を食べるか、あわび丼を食べるか」なんて考えていたんだけど、途中で食べたあんみつが思いのほか腹持ちがよかったことと、あの長い坂道がかなり堪えて「早く家に帰って休みたい」という気持ちが勝り、14時半頃の市営渡船で帰ってきた。今度は志賀島名物「あわび丼」だけを目的に志賀島に来てもいいかもしれない。ついでに夕陽も拝めたらパーフェクト!

疲れたけどとってもいい気分転換になったし、充実した休日を過ごせたからよかった。明日から一週間、また一生懸命にがんばらなくちゃ。