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気づけば街のあちこちに飾り山が立っていて、「あぁ、今年もこの季節が来たんだな」と思った。「今年で最後になるかもしれないからね」と言う彼に誘われて、わたしはすきなひとと「追い山」を楽しんだ。
陽が昇る前に待ち合わせ、午前4時とは思えないほどの混雑の中に彼を見つけた。祇園町の交差点から少し入ったところにふたりで小さく場所を取った。肌に触れる風はひんやりと湿っぽくて、すきなひとがいつもつけてる香水の匂いが鼻を掠めるたびにわたしはどきどきしてたまらない。大きな欠伸を二つ三つして、「眠たい」とか「お腹が空いた」とか言いながら4時59分を待っていた。空が白みかけたころに勢いよくはじまった追い山。街に立ち込める朝靄の中を山笠が一気に駆け抜けて行く様はまさに圧巻の一言に尽きる。早起きして観に行ってよかったと思った。
山笠がすべて行ってしまったあと、わたしは彼と別れて天神へと歩いて向かった。空は雲ひとつない青空、朝日に照らされた祭のあとの街はすこしずつ平穏を取り戻し、いつもと変わらぬ日常へと戻っていった。
たった15日間のお祭りだ。でも、はじまればワクワクするし、終わってしまえばわずかながらの喪失感を覚える。福岡で暮らすこと二年目にして、わたしはすっかり博多祇園山笠に魅了されている。770余年の伝統を守り、受け継ぎ、今日まで途絶えることなく続いてきた歴史ある山笠を今年も無事に観ることができたのは、数多の人たちの意志と努力の賜物にほかならない。
彼が言うように、わたしたちは来年もここにいられるとは思っていない。でも、博多の街でその一端に触れられたことを、わたしはずっと忘れずにいるだろうと思う。

その日は夕方「ゆう活」を取り、公開されたばかりの『バケモノの子』を観に行った。おもしろかったけどいくつか気になる点もあり、まぁ、未だ公開中の映画なので詳細は控えておく。今年の夏は『TED2』も観に行きたい。すきなひとを誘いたいけど、ふたりで観に行くのはちょっと気まずい(数年前に『TED』も観ているけど、いわゆる“下ネタ”を笑い飛ばせるのかどうか…しかも『TED2』はその度合いもレベルアップしているらしいし…)。

そんなこんなで、比較的おだやかな毎日を過ごしている今日この頃です。