黄色

念願叶ってaikoのLIVEに初参戦。昨日のことだ。来春閉館することが決まったZepp福岡で、ほとんど最後尾に近いような場所だったけど、ハコそのものが小さいからか思ったよりもaikoが近くにいた。初めてaikoに会えて、歌声を聴けて、わたしはとってもうれしかった。空に向かって突き上げた両手、リズミカルに跳ねる両足、いっしょに歌った『鏡』と『ジェット』。LIVEの終盤には買ったばかりのツアータオルが汗と涙でぐしゃぐしゃになって、立ちっぱなしのせいで足も腰も痛かったんだけれど、ほんとうにほんとうにいとおしくて夢のようでしあわせな3時間だった。
金曜日の夜、すきなひとをごはんに誘ってみたら、ふたりきりじゃいやだと言わんばかりに後輩を連れてきた彼。わたしはうつむいて笑うしかなかった。そんな痛い、苦しい、切ない気持ちをめいっぱいに抱えてわたしはaikoに会いに行ったんだ。aikoは思いがけずわたしのだいすきな『深海冷蔵庫』を歌ってくれた。彼の声も笑顔もやさしさも、aikoの『深海冷蔵庫』を聴きながら思い出したら涙をこらえることができなくなってしまった。

LIVEに自転車で行ったのは生まれてはじめてだったけど、それは間違いなく正解だった。ペダルを踏むたびひんやりとした夜風が肌を撫でて、冷えた汗にすこしずつ現実に戻される。Zeppに隣接するヤフオクドームではいわゆる“女の戦い”が繰り広げられていたし、人気のない夜道にはコンビニの明かりだけが煌々と輝いていたし、わたしはひどくお腹が空いていた。頭から離れなかった『深海冷蔵庫』を口ずさんで、報われない片想いを思いながらやっぱりすこしだけ泣いた。首にかけたツアータオルは、途中で立ち寄ったお弁当屋さんでやっとかばんにしまったのだった。

涙の数だけ「すき」の気持ちが大きくなった。泣いても泣いても彼のことはあきらめられなかった。こんなにつらいのにどうしてきらいになれないんだろう、ってそればかり考えていた。「伝えよう」「伝えなくちゃ」「すきだよ」「そばにいてほしいよ」「でも困らせたくないな」「気まずくなるのはいやだな」「ふられてもわたしはちゃんと大丈夫かな」と、いろいろな想いを天秤にかけながらここまできてしまったことを、今、わたしはすこし後悔している。わずかな期待に胸をふくらませていたあのころが懐かしくて、“ドラマみたいに遡って本当のこと話せたらいいけどそんなの無理だよね”とaikoが歌った『あたしの向こう』に今の気持ちがシンクロするの。
遡らなくても、本当のこと話してもいいかな。彼はちゃんと耳を傾けてくれるかな。手放すために、前に進むために、ちいさな一歩を踏み出すために、この気持ちを伝えてもいいのかな。

ところで、ミスチルの新しいアルバムも手に入れた。もちろん『{Naked}』一択で。スタジアムツアー初日、ヤフオクドームが心から待ち遠しくなるアルバムだった。
次はミスチルの会えることを楽しみに、明日からまた前を向いてがんばろう。