香色

昨日の天気予報では小雪がちらつくようなことを言っていたけど、寝坊してお昼前に目を覚ましたらカーテンの隙間から眩しいほどの光が差し込んでいた。もっと早起きをすれば洗濯物を外に干せたのに!と後悔しても時すでに遅し。晴れたり、曇ったり、雨が降ったり、天気もわたしも気まぐれな一日。
今日は天神へ出かけた。銀行へ行って(すずめの涙ほどの)ボーナスが振り込まれていることを確認したり、記念切手を買い足すべく郵便局へ行ったり、いつもの靴屋さんで皮革用のクリームを買ったり。それから会社に置きっぱなしにしていた自転車を取りに行って、雨が降ってきたから急いで帰った。お気に入りの洋服屋さんもいくつか覗いてみたけれど、今日はあまり物欲がなくてどれも欲しいと思わなかった。

街を歩きながら見覚えのある景色にいつかのふたりを重ねれば、ここにも、そこにも、あのあたりにも、その瞬間の記憶ははっきりと蘇る。九州一の大都市とはいえ、東京に比べれば小さな街だ。そんな街の片隅で、ふたりは思ったよりもたくさんのときをいっしょに過ごしてきた。いつもの場所でわたしを待っている姿も、地図を頼りにお店を探している横顔も、交差点の角のローソンで待ち合わせたあの日も、笑顔で手を振ってさよならするときの切なさも、いつだってわたしは彼をまっすぐにすきだった。

のどに違和感を覚える。あぁ、わたしも風邪をひいたかな。