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しばらく間が空いてしまった。
9月に入って一週間ほど、北海道へ帰省していた。遅い夏休みはいつものように北見の祖母の家で過ごした。
ナナカマドが赤く色づき、たまねぎのコンテナが並ぶ畑、甘い枝豆は目にも鮮やかなきみどり色で、見上げた空はどこまでも青かった。北海道の雄大な自然が育むいろとりどりの景色に、わたしはここを訪れるたびに胸がいっぱいになる。
祖母は82歳になった。数年前に祖父が亡くなった後、ひとりで元気に暮らしている。ここ最近は韓国ドラマにはまっていて、「字幕を読むからボケ防止に一役買っているのよ」ともっともらしいことを言いながら毎日一生懸命テレビを観ていた。
北海道を離れるときはいつだって泣けてしまうけど、「また来年くるからね」と、祖母には笑顔で手を振った。飛び立った飛行機、窓の外には一際大きく輝くスーパームーンが夜空を明るく照らしていた。

水曜日、久しぶりに出社した。すきなひとに会いたかったから、声をかけて、いっしょにお昼を食べに行った。週末に埼玉へ帰ったらしい彼が「いつも(おみやげを)もらってばかりだから」と言って差し出した小さな包み。「池袋のおみやげ」だそうで、キットカットショコラトリーの“オレンジカクテル”というチョコレートだった。キットカットの専門店が池袋にできていたなんて、わたしは全然知らなかった。甘くてほろ苦くて、なんだかわたしの恋に似ていると思った。

福岡は秋晴れの一日で、夏の多雨が嘘のように澄み切った空が美しかった。
わたしはこっそり休日出勤をした。ここのところの忙しさは、遅くに取った夏休みのせいもあるけど、季節柄のルーティンワークが重なったこともある。誰もいない会社で仕事も捗り、予定よりも少し早めに切り上げてキャナルシティで久しぶりの買い物。店頭には秋物が出揃い、今年は何を新調しようかと見て歩くだけでわくわくする。スニーカーとカーディガンを買って、自転車に乗って帰宅した。
今日はなんだか、すこし疲れてしまった。