乳白色

お昼休み、コンビニへ行こうと思って外に出た。すっきりしない空模様。海風が冷たく感じて、ストールをかけてくればよかったと後悔しながら歩いた。信号が青に変わって右足を踏み出した瞬間、背後から「お疲れさまです」と彼の声が聞こえた。
振り向くと、スーツのジャケットを羽織り、左手にかばんを持って、早くも帰り支度を済ませた彼がいた。今週末は埼玉に帰ると言っていたから、きっと午後は休暇を取ったのだろう。「今夜は向こうで歓送迎会なので」と話す彼に、わたしは「みなさんによろしく」ということと、「気をつけて行ってらっしゃい」ということを手短に伝えた。
「今日はどこでお昼を?」と聞かれたから、「相変わらずコンビニで」と答えた。困ったような顔で笑った彼は、「来週、またいっしょにごはんに行きましょう」と言い残して行ってしまった。彼の背中を見送ったわたしは、コンビニでおにぎりをひとつと小さな野菜ジュースを買った。

食欲のない日が続いている。彼とごはんに行っても、出された食事を半分も食べられない。そんなわたしの様子を見て、彼は彼なりにわたしのことを心配してくれているらしい。なんだか彼に申し訳ないと思う。自分はこんなに軟なはずじゃなかった。

午後、会社を抜け出して区役所へ転入届を出してきた。風がとても強かったから、彼の乗る飛行機があまり揺れなければいいな、と思いながら会社へ戻った。