烏羽色

どうしても「合わない」人間ってどこにでもいるものだ、と思う。


彼女に嫌われる理由がわたしにはさっぱりわからないし、とは言え、彼女に嫌われることは大したダメージではないけれど、職場においてそのような素振りを恥ずかしげもなくひけらかすことは、大人気ないのでやめてほしい。

わからないことを質問しようと「今お時間大丈夫ですか?」と尋ねたわたしに、彼女は「うん」と確実に言った。にもかかわらず、声をかけたのがわたしだと気づくや否や一瞬止めた手元を再度忙しなく動かし始め、ついに止める気配を見せなかった。わたしはしばらく黙ったのち、一方的に話を進めた。彼女は言葉の端々に苛々をちらつかせ、さもわたしを馬鹿にしているような口調で適当な返答(わたしの仕事をわざと増やすべく仕向けるような)を繰り返しながら、結局その手元を止めることなくわたしの話を聞き終えた。
自席に戻り、このやり場のない怒りをどうしようかと考えたけれど、わたしは彼女のために怒ることすら「くだらない」「めんどくさい」と思った。「これが四十を過ぎたオバサンのやることか」と思った。

わたしは会社に入って4年弱、これまで散々彼女からこのような仕打ちを受けてきた。それでも、会社の人はもちろん、家族や友人に彼女について公言するどころかここに書くことすらせず、「悪口を言っては彼女のことを本当に嫌いになってしまう」と思ったから何も言わないできた。でも、もう我慢の限界なのでここに書くことにした。

仕事中、誰かに話しかけられたらまずは自分の手を休めて相手に傾聴の姿勢を取るのが当たり前だろう。仕事をする上で、相手を嫌な気持ちにさせない配慮をするのが当たり前だろう。少なくともわたしの会社ではそうだ。それをできていないひとを、わたしは(彼女以外に)見たことがない。
さらにムカつくのが、彼女は相手によって、時と場合によって、自分の態度を変えることだ。それはそれは、「お前はカメレオンか」と思わずつっこみたくなるほどで、上司、年上の担当、(自分のお気に入りの)男性には声色まで変わるほど媚を売っているのがよくわかる。
それから、彼女の言うことが日によって異なるのも面倒だ。以前こう教わったから、と踏襲して進めた仕事も「こうじゃない」と怒られたりする。(これはわたしだけでなく、一部のひとが気づいているようだ。)

妖怪人間ベラをさらに老け込ませたようなツラ(こんなことを言ってはベラに失礼だが)で意地の悪い“お局様”を気取っているのか知らないが、彼女がそういう人間だということはよくわかった。時折見せる柔和な態度も気持ち悪いくらいだ。こんなオバサンに一喜一憂させられてはたまらないし、わたしももう諦めたから、あとは淡々と対応する。

入社以来、どんなに彼女を嫌いでも、どんなに彼女と関わりたくなくても、こんなことで負けていられない!と何度も気を奮い立たせてきた。明日からも同じように頑張るだけ。終わればパラダイス。そう信じることにする。

あぁ、吐き出したらスッキリした。