ruby

どこまでも続く青空を仰ぐこと。小さな庭にやってくる鳥たちにえさをあげること。一足早く秋を報せる冷たい風。雲間から覗く太陽の暖かさ。もぎたてのトマトにかぶりつくこと。満天の星空に北斗七星を探すこと。収穫を終えたたまねぎ畑に散らばるコンテナ。ナナカマドの色づきに秋を感じること。咲き乱れたコスモスに群がるミツバチ。

どれも、“ココ”にいてはできないこと、感じられないことばかり。都会にあって田舎にないものよりも、田舎にあって都会にないもののほうが、わたしにはとてもよく合っている気がする。
北海道は早くも秋の装い、朝晩は寒くてストーブを焚いた。さほど天気に恵まれなかったせいか、カメラを持ってどこかに出かけようという気も起きず、伯母からのドライブのお誘いを受ける以外は祖母の家でのんびり過ごした一週間。明日からの仕事に支障が出そうなほど、頭の中はからっぽになった。このままでは来月の試験も危うい…。

祖父のお墓参りには2度行った。庭に咲いた菊やコスモスを供えて、お線香を上げた。お墓の前にしばらく座って、たくさんの話をした。祖父に届いていたらいいな、と思った。