sahara

会社の“窓”という小さな額縁に押し込められた空が、ころころと表情を変えていた。アイスクリームみたいな、わたがしみたいな、いくつもの大きな入道雲が青い空でぷかぷか泳いでいた。そのどれもが美しくて、ぼーっと空を見ている時間がなんとなくいつもより長かったと思う。窓際に座る上司に気づかれないように、わたしは、今日の空のどんな表情も見逃したくないと思った。


スピッツの『砂漠の花』という歌が好き。この、シンプルでありながら切なさMAXのメロディーに乗せるのは、マサムネさんの歌声じゃないとダメだ、ということを、昨日、会社からの帰り道でこの歌を聴きながらすごく考えていた。
たとえば、『チェリー』とか『ロビンソン』とか『楓』とか、スピッツの数ある名曲をミスチルの桜井さんが歌ってるのはなんとなく想像がついたけど、『砂漠の花』だけはマサムネさん以外の誰にも(たとえ桜井さんであっても)歌ってほしくないし、なぜか、それが想像できなかった。シンプルなメロディーラインを、マサムネさんが感情を込めながらもそれを剥き出しにせずにさらっと歌い上げるのが、この曲にはとても似合ってる気がしている。

通り雨が過ぎていった。夜になると鈴虫の声が聴こえて、外はかなり涼しくなるから、やっぱり、足音を忍ばせながらも秋が近づいてくる気配。根拠もないのに「なにかいいことがありそう!」と思うくらいには、わたしの心も穏やかだ。