漆黒

昨日のゲリラ豪雨後の都内。晴海の高層物件より東京スカイツリーを臨む。

昨日は埼玉にある会社を抜け出して、前の部署の皆様と都内へ出張。普段携わっている総務の仕事はほとんど外に出ないから、たまにこうして外出する機会を与えてもらうと喜々として出かけてしまう。上司にも快く送り出していただき、ありがたい限り。
地下鉄有楽町線に揺られて月島駅から出ると、不穏な雲行きに慌てて傘を開いた。空が光って雷鳴が轟き、とたんにシャワーのようなものすごい大雨。スニーカーも靴下もレギンスもショートパンツもびしょ濡れで、傘なんかちっとも役に立たなかった。

月島から勝どきまで歩き、出張で済ませるべき用事を終えてからは、同行者総勢10名ほどで飲み会。築地が近いからだろうか、驚くほどおいしい魚に舌鼓を打ちながら日本酒の四合瓶があれよあれよという間に空いてゆく様子は、さすが我が社の先輩方のなせる業だとあらためて感心してしまう。わたしも遠慮なく日本酒をいただく。辛口で、ぴりりと口に広がる刺激がゆっくりと胃に落ちてゆく快感。
会もお開きとなり、小雨がぱらつく中、勝どきから所沢まで帰るのがしんどかった。金曜の夜に飲む久々の日本酒は、翌日の通勤の心配をしなくていい分、余計に心地よい眠気を誘う。
帰宅後は真っ先にシャワーを浴びて、丁寧に歯を磨いて就寝。…ところが、酔いも眠気もあっという間に覚める事件が勃発。

引っ越して初めて、わたしは、夜の闇に融け込むような漆黒のアイツに遭遇したのだ。(以下、自己責任でお読みください。)


たいていの虫なら笑って見過ごすけど、Gokiburiになれば話は別。これまでわたしは、自分でGoki退治などしたことがなかった。それどころか、生きているGokiにこんなに近くで出会ったのも初めて。体長約5cm、触角を含めば優に7〜8cmはあろうかという巨大Goki。こいつをしとめなければ、わたしはおちおち眠ることもできないだろうと思った。

手当たり次第に掴んだティッシュの箱、Gokiの近くにこっそり忍び寄り「えいっ!」と叩きつけるも、ヤツの逃げ足は驚きの速さ。クローゼットの中に逃げ込んだため、タンスをがたがたと動かし這い出てきたところを再び「えいやっ!」と攻撃。
Gokiは廊下に逃げ出した。わたしも即座に追いかける。ティッシュの箱は役に立たず、運よく空っぽだった寝室のゴミ箱を手にしながら声なき声を上げる。そんなわたしを弄ぶかのように、廊下と寝室を行ったり来たりするGoki。Gokiめがけて何度もゴミ箱を振り下ろすわたし。両者一進一退の攻防。
何度目かのわたしの攻撃がGokiに命中した。要らないチラシや新聞紙を集めてGokiを始末し、やっと葬り去ることができた。真夜中の戦い、執念の勝利。

ひとり暮らしを始めた一年前、Gokiに出会うことなど考えてもみなかったから、ゴキジェットを備えていなかったことが災いした。昨夜、Gokiをやっとの思いで退治しても、あの黒光りした“巨体”が何度もフラッシュバックしてなかなか眠れず、朝も無駄な早起き。仕方がないから、さっそくゴキジェットを買いに走った。Gokiが苦手とするミントスプレーも自作し、隅々まで掃除をしたあと部屋中に振りまいておいた。
現時点で、わたしにとっての「地震・雷・火事・親父」の頂点に君臨したGokiburiであるが、もう金輪際出会いたくない。しばらくは、Gokiの再出現にドキドキした生活が続きそうだ。