小豆色

USJに行ったのは二年ぶり、二度目のことだった。
二年前は会社の同期と行った。7月の三連休、かんかん照りの太陽にじりじりと焼かれながら、ライドに乗るために長蛇の列に並んだことを今でもはっきりと覚えている。逆に言えば、ほとんどそれしか覚えていないくらいにひどく暑かった。
今回も、会社のひとたちと。わたしの親ほど歳の離れた女性、アラフォーの男性、わたし、そしてひとつ下の後輩の男の子。
初日は15時にパークへ入った。ちょうどハロウィンのホラーナイト期間中で、いくつかライドに乗ってるうちに18時を過ぎるとパークのあちこちにゾンビが出没しはじめ、きゃあきゃあ騒いで楽しんだ。途中雷雨に見舞われ、稲光や雷鳴の轟く音で怖さも倍増。わたし自身、ホラーはあまり得意ではないと思っていたけど、まったく心配は無用でほんとうに楽しくはしゃぎ回っていた。
USJ近くの提携ホテルに宿泊し、翌日は朝イチでパークへ。前日の疲れは微塵も感じることなく乗りたいライドを乗り倒し、お土産を買い、くるくるとよく遊んでたくさん笑った。
すこし早めにUSJを出て、新世界、道頓堀と、なんとなく「大阪」ぽいものも見て歩いた。帰りの新幹線では疲れ果てて眠りこけるかと思いきや、意外と目が冴えてしまって、翌日からの仕事に不安を覚えずにはいられなかった。(そしてミスをしたのだ、わたしは。)

大阪のすぐ近く、伊丹市に住んでいたことがあるから、おぼろげながらも懐かしい記憶が蘇った。通天閣には15年ほど前に一度だけ行ったことがあり、そこで父親と話したこととか、阪急電車の小豆色とか、家族と話すときに自然に出てくる関西弁とか。
どうでもいいことに限ってちゃんと覚えているけど、そういうことはきっと「どうでもいい」ことなんかじゃなくて、今のわたしをかたちづくるひとつひとつの要素となっているから、どれひとつとして欠けてはいけない大切なことなのだと、ふと思ったりする。今回の旅行が楽しみなあまり直前に風邪をひいたこととか、旅行の浮かれ気分が抜けずに仕事でミスをしたこととか、そういう「忘れたい」と思うことも、わたしはきっとなかなか忘れられずにいるのだろう。

とても楽しい二日間だった。