栗色

祖父の一周忌で再びの北海道へ。今年は例年より暖かく、まだ紅葉も始まったばかりのようだった。
所沢と羽田との往復には、もっぱら直通バスを利用する。車窓から見える景色が瞬きをするごとに移り変わって、それはまるで、自らが乗車するバスが都会という街を大きく撹拌しているようだ。対して北海道では、どんなに長いことバスに乗っても、左右に見えるのは空と山と広大な畑ばかりで、瞬きをしても見える景色に大差はない。
縁あってそのどちらにも行ったり来たりを繰り返しているわたしにとっては、それぞれが魅力的に映る。だけど、あの雄大な空と地面の間に立って、秋風や土の匂いや鮮やかな山の色を全身に感じられる瞬間はこの上ない幸せだ。都会の喧騒、他人との距離感、そんなものに嫌気が差すときには必ずと言っていいほど北海道に行きたくなる。それが、わたしの生まれ故郷。
晩年、年老いた祖父と手をつないで歩いた道をなぞるように歩いてきた。大好きな祖父が隣で笑っていてくれるような気がしたから、わたしはちゃんとこの二本の足で立ち、生きてゆくことをあらためて心に誓った。